遠山郷下栗の里
下栗の里全景(午後4時頃撮影)
「わんおふ」は、佐藤順一監督のOVA作品で全部で4話あります。
この作品では、誰しもどこかでご覧になったことがある急斜面につづら折りの道と人家が俯瞰できる風景が登場します。この風景だけでなく、その近傍の山あいの村が作品の舞台となっています。
その場所は、長野県飯田市上村(かみむら)地区と南信濃地区ですが、一般的にはこの辺りを遠山郷と呼びます。中央高速の飯田ICから約1時間で、この遠山郷に到着しますが結構ややこしい道程です。
三遠南信自動車道が建設中ですが、この道路の一部であるループ状の道を通り、長いトンネルを抜けると国道152号線へ出ます。
さらに南下すると上町地区の下栗の里の入り口の場所に着きます。
ここから下栗の里へ向かう山道を登っていくとこのつづら折れの道の途中に出ます。
そこから少し登ったところに、はんば亭という休憩施設があります。ここから、あの風景が見渡せる場所(ビューポイント)まで、徒歩で約20分です。この場所の標高は約1000mです。
この場所からさらに北へ登っていくと、ハイランドしらびそという宿泊施設があります。
この建物のデザインが春乃の家(ペンションNIWA)に似ており、これがモデルではないかと想像されます。
ただし、実際にはこの建物は大変大きいものであるのと、この場所は標高1900mの場所にあり、ここからふもとの高校へ原付バイクで通うというのはちょっと無理な感じです。したがって、位置的なモデルははんば亭の辺りということのようです。
ここから、さらに車で数分行ったところに、しらびそ峠があります。キービジュアルはここになります。
さて、上町地区から、国道152号線をさらに南下すると和田地区があります。ここには、遠山郷の地名の由来である遠山氏がかって住まわれていた和田城やその菩提寺の竜淵寺などがあります。
「わんおふ」は、これらの地区の風景を取り込んだ背景となっています。
では、アニメの背景をエリアごとに紹介していきます。
まず、下栗の里です。
アニメでは、はんば亭はふもとのお店のように描かれていますが、後ろに道路はなく、下栗の里の頂上部にあります。ここに車を停めて、ビューポイントまで徒歩で歩いて行きます。
林の中を抜けていくのですが、急傾斜の場所を貫くように設置した道なので、道幅が狭く、すれ違う際は、必ず一方の人は止まってやり過ごすようにしてください。
ビューポイントには、くつろげるような広い空間はなく、地元の人が景色を安心して楽しめるように設置してくれた足場のみがあります。アニメのようにコーヒーを淹れて飲むということはとてもできませんので、筆者は缶コーヒーを持参して、景色を眺めながら飲みました。
下栗の里の人達は、この急傾斜の場所に居住していますが、この場所で二度いもと呼ばれる小振りのジャガイモが耕作されています。このジャガイモは、味が濃くて美味しいです。
はんば亭では、いも田楽として頂くことができます。
はんば亭近くの風景
つぎは、ハイランドしらびそです。
ここへははんば亭からさらに30分ほど山道を登りました。途中で道路の真ん中にいた鹿の親子(2頭)に出くわしましたが、目線が合った瞬間に脱兎(脱鹿か)のごとく、一気に急傾斜の崖を20mくらい登ってから、こちらの方を伺ったのには驚きました。本当にきれいな鹿の毛色でした。鹿は奈良公園や動物園でしか見たことがなかったのですが、野生の鹿がこんなにきれいなのには感激しました。(残念ながら写真はありません)
ハイランドしらびそは、標高1900mの場所にあるのですが、結構大きなお風呂もあり寛げます。部屋にはエアコン(クーラー)がありませんでした。しかし、窓を開けると外の涼しい空気を入れることができます。到着は夕方だったのですが、気温は25度くらいで、明け方は20度を切るくらいだったと思います。
この場所は、標高が高いうえに周りに人家がないため、空が暗く、天文ファンの聖地とも言われているところだそうです。月がない時は、天の川が普通に見えるそうです。筆者は宿泊予約をしたあとに、当日が満月であることに気付きました。実際、やはり月明かりが邪魔して天の川が見えなかったのは残念でした。空も曇っていました。午前3時頃には満月も沈むはずでしたが、早起きできなくて痛恨の極みでした。次回リベンジしたいと思います。
月明かりに照らされるハイランドしらびそ
アルプスの山並みからの御来光は見ることができました。
アニメでも、ペンションの前庭で天体観測のシーンが登場しますし、まさにここがモデルだと思われます。
建物の中には、ここに宿泊された方の写真がいくつか飾られていました。アニメと全く同じピンク色の星雲の大きな写真はありませんでしたが。
前庭には機関車と客車と木材を積んだ貨車の3両の列車が有ります。
廃線になった遠山森林鉄道の車両をここに展示しているのです。もちろん、こんな標高の高いところではなく、実際には、ふもとの上町地区の南の木沢地区に敷設されていました。
遠山森林鉄道の資料は木沢地区にある旧木沢小学校内に展示されています。車両はありませんが、写真や図面、道具などを見ることができます。
木沢小学校の全景
木沢小学校は、平成12年に廃校になったのですが、当時のままの姿で、校内の机、備品などがそのまま保存されており、山あいの学校の雰囲気を味わうことができます。
竜淵寺(和田地区)
竜淵寺は、遠山氏の菩提寺であり、本堂の横には樹齢500年の杉の木が5本並んで立っています。
観音霊水という湧き水があり自由に持ち帰ることができます。筆者はペットボトル1本だけ持ち帰り、冷蔵庫で冷やして飲みましたが本当に美味しい水でした。この水は1年間は腐らないとのことです(若住職の言)。
福島屋酒販店(和田地区)
近藤工務店前(和田地区)
アンバマイ館(和田地区:道の駅内)
バイクショップ「茂登屋」のモデルはよくわかりませんが、このような感じでしょうか。
春乃のペンションの大きさ的なモデルは、アンバマイ館の隣りのこの建物な感じでしょうか。
最後にもう一度、ビューポイントからの下栗の里全景です。これは午前10時頃の撮影です。斜面は南東方向に下っているので、お日様がこの時間には正面から当たります。(クリックすると拡大します)
この記事のアニメの舞台の場所は、夷(ゑびす)様のブログ記事を参考にさせていただきました。ありがとうございます。
(2013年8月19日、20日撮影)