はいみどりの世界

すてきな記憶を忘れないために

極黒のブリュンヒルデ(国立天文台(三鷹):天文部部室編)

極黒のブリュンヒルデの天文部部室の位置モデルは、長野県上水内郡小川村にある小川天文台ですが、劇中に出てくる天文台の内部、外部などのディテールは、東京都三鷹市にある国立天文台内の施設であるということですので、見学に行ってきました。

 

f:id:haimidori:20200430231447j:plainこれが正門です。
国立天文台は日本に何箇所か存在するようですが、この三鷹市の施設が本部であり、三鷹キャンパスと呼んで区別しているようです。今は、天体観測は、都市近郊の光害(こうがい)により不向きになっているので研究者を育てたり、研究を推進する中心的な位置付けのようです。
受付で見学したい旨申し出て、名前を記入し、見学者のシール(ワッペン)を胸に貼ります。

 

f:id:haimidori:20200430231611j:plainこの施設内の赤い通路、および隣接施設のみ見学者の通行可です。

 

f:id:haimidori:20200430231652j:plain受付から左手の方へ100mくらい行った左手には、三鷹キャンパス最古の建物の第一赤道儀室があります。
時代を感じさせる建物です。レンズ口径20cm,焦点距離359cm(1927年製造)なので、そんなに大きくはない屈折望遠鏡が収められています。ここでは、太陽黒点の観測などを60年間にわたりおこない太陽の研究に貢献したそうです。
そして、ここから、西側へまっすぐ100m程歩くと、天文部部室が見えて来ました。

 

f:id:haimidori:20200430231751j:plain天文部部室(天文台歴史館)
この部室、いや天文台歴史館と呼ばれている建物は大赤道儀室と言われる建物で、1926年に建設されました。
高さ19.5m, ドーム直径15mもあります。

 

f:id:haimidori:20200430231809j:plain早速、階段を昇って中に入ります。

 

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f:id:haimidori:20200430231921j:plain入り口の扉を開けると、20名以上、同時に入らないでくださいとの注意書きが

f:id:haimidori:20200430231948j:plain今日は、平日だったこともあり、部室、いや建物内には誰もいませんでした。もちろん、カズミちゃんも。

 

f:id:haimidori:20200430232023j:plain正面の鉄の階段をさらに数段昇ると、赤い床のドーム内に入れます。

 

f:id:haimidori:20200430232526j:plain結構、大きいです。天井も高いです。
ドーム天井が木材の色をしているのは、実際、ドームが木製だからですね。このドームは、造船の技術を使って作られたということです。
そして、ドームの真ん中には、巨大な望遠鏡が。

 

f:id:haimidori:20200430232606j:plain65cm屈折望遠鏡
レンズ口径65cm, 焦点距離1021cmもあります。
今は、使用されていないようです。(1998年3月まで観測に用いられていた)
以下、ドーム内のカットをいくつか紹介します。

 

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f:id:haimidori:20200430232836j:plain作中との望遠鏡のバランスウェイトの位置が左右逆になっていますが、実際に観測をおこなうときなど逆になることもあるのでしょうか。(筆者、にわかですので、ご教授お願いいたします)

 

f:id:haimidori:20200430232939j:plain壁の装飾はそのままですね

 

f:id:haimidori:20200430232957j:plain背もたれのある赤いソファーはありませんでした。
床が赤く塗ってあるのは、この部分が上下に可動する仕組みになっており、その重量制限を意識させるためだと思われます。(2000年に床は固定されています)

 

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f:id:haimidori:20200430233404j:plain先ほど入ったドームの二階入り口から今度は右手に行くと一階へ行く階段があります。ここを降りていくと先ほどの赤い床の下に出ます。

 

f:id:haimidori:20200430233429j:plain赤い床は木製だったのですね。

 

f:id:haimidori:20200430233501j:plainこの場所は、作中では天文部の部員が寝泊まりする場所のようです。作中で見えた先ほど通った階段が、この画像の正面奥に見えます。
この階段を降りたすぐ前のあたり(画像では左側)に布団を敷いていた設定のようですね。

 

f:id:haimidori:20200430233525j:plainちなみに作中の台詞のように、他に部屋はなく、正面入って左右に物置部屋があるだけのようです。
(ドアを開けていないので確認できていませんが)

 

f:id:haimidori:20200430233543j:plainこの建物内には、展示パネル以外にガリレオの望遠鏡のレプリカとか計算機とか展示しています。

 

f:id:haimidori:20200430233600j:plain計算機は天文学には欠かせないものですし、その進歩は天文学の進歩に直結してますね。

この三鷹キャンパス内には、他にもレプソルド子午儀室とかゴーチェ子午環室とか天文機器資料館などもあります。

 

f:id:haimidori:20200430233625j:plainレプソルド子午儀室

 

f:id:haimidori:20200430233648j:plainゴーチェ子午環室

このような施設を見ると天文学というのは、地道な努力の積み重ねの学問なんだなと実感します。
この見学中に木村栄(きむらひさし)という懐かしい半ば忘れかけていた名前を見ることができ、昔、この方の肖像画を通っていた小学校で見たことを思い出しました。そして、Z項の発見という業績を上げた方だったことをこの見学を機会に知ることができました。筆者は小学生のときは天文学好きで、図鑑を買ってもらって、隅から隅まで読み、図書室の天文関連本も散々借りたりしてたのですが、それでも当時はどういう方だったのか知る由もありませんでした。

この国立天文台三鷹キャンパスには、実際に望遠鏡を使って一般の人に天体を見る機会を提供しているようです。いまは、テレビ画像などで天体の様子を見ることも出来たりしますが、やはり、実際の光学望遠鏡で直に見てみたいと思いました。
(2014年5月30日撮影)