はいみどりの世界

すてきな記憶を忘れないために

陸別町訪問記(夏編)

2019年6月末、家族で3泊4日の北海道旅行へ行きました。

この年、NHKの朝ドラで「なつぞら」が放送されており、日本のアニメの草創期を作った1人のアニメーターの故郷として、帯広など北海道の十勝地方が舞台となり度々登場していました。

4日間の旅行の初日は、午前中に帯広空港に降り立ち、そこでレンタカーを借りて、この「なつぞら」の舞台である帯広周辺の牧場のある雰囲気を感じ、それから、とあるアニメのディスクのジャケットに描かれた上士幌の風景を見て、さらにその近くにある、別のアニメの劇場版に登場した廃墟になっている橋梁の風景を見てから、大雪山の麓の峠を越えて、旭川に移動して初日の宿泊をするというざっくりとした予定で考えていました。

帯広空港に到着して、レンタカーを借りて、運転を始めてから急に陸別町に行ってみたくなり、1時間半くらいで行けそうだったのもあり、帯広の観光はスキップして、少し寄り道をしました。

途中までは高速道路でしたが、そこから一般道をひたすら走り、足寄を過ぎると、「なつぞら」に出て来る牧場の風景が車窓に現れて来ました。

そして、帯広から2時間弱、ようやく陸別町の道の駅に到着しました。

 

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陸別町道の駅

ここは、元々鉄道の駅舎だった場所で、鉄道が廃止された後も、ふるさと銀河線りくべつ鉄道が車両と線路、駅舎などを保存して、今でも駅構内、近隣などを運転できるようにしている施設でした。(*1)

 

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なつぞらラッピング列車(*2)

 

さて、昼食を済ませた後、町内の施設である「銀河の森天文台」へ行ってみることに。

道の駅から10分ほどで到着すると、まだお昼の午後1時50分なのに閉館していました。

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開館時間の掲示

 

入り口の掲示をよく見ると午後2時から開館するとのことで、しばらく待つことに。もっと、早い時間に着いていたら、この先の行程を考えて入館せず、次の目的地へ出発していたと思います。

開館時間は全く調べていなかったので、本当にこの時間に到着したのが何か不思議な縁を感じました。

 

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氷床掘削ドリル(浅層)

そして午後2時になって入館できました。館内には低緯度オーロラ(*3)のパネル展示だけでなく、入館するまでは全く知らなかった南極関連の展示物がありました。ミニ極地研のようでした。

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氷床深層掘削ドリル実験塔(パネル)

夏に立川の極地研の低温室で見た氷床コア(3000mまで掘削している)を取り出すための基礎実験をここ陸別町で行っていたことをこの時初めて知りました。

この施設内には、大学の研究施設や国立の研究機関が設置されており、様々なデータを集めています。

 

そして、この施設の最大の売り物である天文台向かいます。建物の屋上のドーム内には大きな反射望遠鏡がありました。

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反射望遠鏡(りくり)とドーム内部

施設の方に「今は昼間だから星は見えないですよね?」と訊ねると

「見えますよ」

と予想外の答え。

えっ?!

「でも、今日は曇っているので無理ですけどね」

ちょっと残念でした。でも、昼間でも星を見ることができるというのは知りませんでした。

鎌倉には「星の井」という井戸があって、その中からは昼でも星が見えるという伝説とか、大きな煙突の下からは星が見えるという話は聞いたことがあったのですが、本当に昼間でも見えるということを実際に聞けたのは驚きで、先入観を持たずに物事を捉えることは大事なことだなと思いました。

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反射望遠鏡本体(口径105cm)

この日は、星は見れませんでしたが、実際にこの大きな望遠鏡を星の方向へ向けるように動かして頂いたりしました。もし、また機会があったら、この望遠鏡で星を見てみたいと思いました。

 

さて、時間の余裕もなかったので、次の目的地の上士幌まで移動しました。

上士幌についてはまた別の機会に。

 

 

*1 陸別ー分線駅間の1駅の体験乗車、運転体験も2021年4月から可能になる予定

*2「なつぞら」が放送されていた(2019年4月27日(土)~ 9月28日(土))の期間だけの限定ラッピング

*3 低緯度オーロラに関しての記事はこちら

(2019年6月28日撮影)

 

マイナス19度でのお湯花火

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小淵沢貴子著書のモデルの本

宇宙よりも遠い場所の第1話では、キマリのお母さんの小淵沢貴子の著書内にお湯花火の画像が出て来ます。(*1)

筆者はお湯花火のことは、このシーンを見るまで全く知りませんでした。

お湯花火のことをググってみると、熱湯を空に向かって撒くことで出来ると書いてありました。ただし、それが出来るのは気温が-30℃以下であることも書かれていました。

南極では-30℃になることもありますが、南極に行くのは簡単ではありません。

なので、先ずは-30℃体験をしてみようと思い、2019年の極地研の公開日の低温室体験に応募しました。そして、運よく抽選に通りました。

 

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極地研低温室ツアー(防寒服を着て廊下を通路を無言で進む)

当日、極地研で用意された防寒着を着て、最初に-20℃の部屋に入り、さらに-30℃の部屋に移動した時、その寒さに顔がこわばるのを感じました。

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氷床コアの実物

ここで、お湯を撒けばお湯花火が出来るかもとその場では空想をしていましたが、もちろん、天井が低い室内で実験が出来る訳もなく(もちろん許可が出るはずはないです)、どこかで-30℃体験が出来ないものかと思いました。

 

ところで、筆者はこの極地研公開イベントでの低温室体験の1ヶ月前に北海道の陸別に行っていました。

陸別町に行ったきっかけは、オーロラ(低緯度オーロラ)が見れる(見れたことがある)場所であることを北海道旅行の直前に知り、海外にオーロラを見に行くのは自分にとってかなりハードルの高いことなので、北海道ならハードルはそれなりに低いのではないかという興味もあってのことでした。

陸別町には町営の天文科学館(りくべつ宇宙地球科学館、銀河の森天文台)があり、そこには、立川市の極地研の南極・北極科学館に展示されていたものと同じ、氷床をボーリングする装置が展示されていたり、南極に関連するいくつかの展示物がありました。

この時は、真冬に再度訪れるということは全く想像だにしていなかったのですが、極地研に行ったあと、この陸別町のことを思い出していました。

陸別町のことを改めてよく調べて見ると、この町は、日本一寒い町というキャッチフレーズで紹介されており、真冬には、-30℃を下回る日もほぼ毎年あることが分かりました。

そしてこれはやはり行くしかないと決心し、真冬の最も寒い時期に陸別に行くことにしました。

 

さて、お湯花火の話に戻ります。

先ずは、筆者が実際に陸別町で実験を行ったお湯花火の画像をご覧ください。

投げ上げた直後の左側の辺りが花火っぽいと思います。そのあとは、全体が雲の塊になってしまっています。(再度、再生するときは、左下のボタンをクリックします)

筆者が訪問したのは2020年の1月末〜2月初めです。例年ならこの時期には-20℃を下回る日が結構あるのですが、陸別に到着してからの2日間は-10℃前後にしか下がらず、このお湯花火の実験がうまく行くかどうかすごく微妙な感じでした。

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気温(-19℃、AM6:25)

陸別町に滞在した最終日の4日目の朝、ようやく-20℃近くまで気温が下がりました。事前に調べていた情報では、-30℃以下でないとうまく行かないというものもあったのですが、とにかくやってみることに。(*2)

持参した細長い筒状の水筒に湯沸かしポットのお湯を入れて、泊まったコテージの玄関先で、空に向かって投げ上げるように、勢いよくお湯を撒いてみました。

「出来た!」

すると、頭の上の方から、

「すげー!」

こんな声が聞こえてきました。

この実験は早朝に一人でやっていたのですが、たまたま玄関の真上の部屋で泊まっていた方が外を見ていて、筆者の実験を間近に見ていたのです。

「動画撮れますか?」

「大丈夫だよ」

筆者は再度、台所へ戻り、お湯を水筒に入れ、もう1回やってみる。

1回目と同様にうまくいく。

そして、さらにもう一度、今度は気持ち多めにお湯を入れて、再トライ。

「うまく撮れた?」

「バッチリ!」

スマホでしっかり撮影して頂いた3回目の実験の画像がこの動画です。

 

マイナス20度でも大丈夫だし、南極行かなくてもお湯花火が出来ることが分かったのでした。真冬に陸別に来た甲斐がありました。何事も先入観を持たず、トライすることが大事と改めて思いました。

そして、その時の画像も動画で記録出来たのも幸運でした。筆者は録画のことまで考えていなかったので、これは予想外に嬉しかったです。

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実験に使った水筒(キャップは外して使う)

オレンジ色の水筒(容量は350cc)ですが、断熱されていないので、熱湯を入れると素手では持てないくらい熱く、台所にあった料理用のミトンで持って実験しました。

お湯の温度は湯沸かしポットのお湯を使ったので、おおよそ90度くらいです。(*3)

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陸別町の紹介パンフレット

この実験のあと、陸別を離れる直前に道の駅にあった陸別町の紹介パンフレットを入手できたのですが、その表紙はなんとこのお湯花火でした。(柄杓でお湯を撒いているようです。この時の気温は記載されていません)

 

(*1:小淵沢貴子が著した本のモデルになった田邊優貴子著のこの本「すてきな地球の果て」には、お湯花火の画像は存在していません)

(*2:この日の陸別町の公式最低気温は-22.8度(2020-2-3, 6:34)で、日本一寒い場所でした)

(*3:お湯花火の実験に使うお湯の温度は高いほど良いらしいのですが、危険ですので、近くに人のいない広い場所で充分気をつけて実験してください。筆者自身も自分の身体に熱湯が降って来て、被ったらどうしようかと半分こわごわ実験していました)

(2020年2月3日撮影)

 

コミケ c97 お品書き(2019年冬)(1st info.)

コミケ(C97)のサークル「やきいも」の新刊紹介です。(12月28日(土) 1日目南2オ-06b)

今回もまたまた、TVアニメ「宇宙よりも遠い場所(よりもい)」の同人誌です。

 

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1.「新ペンギン饅頭号のひみつ」(A4フルカラー、48頁)(900円)

今回の新刊は、これまでのよりもい聖地巡礼本の集大成を目指し、なんと総ページ数は48頁です。さらに、判型をこれまでのB5サイズからA4サイズにスケールアップしました。

内容は、今回新たに、第4話の夏季訓練に登場した、鈴蘭小屋(乗鞍高原)の紹介やルート工作などの解説も追加しました。

そして、既刊の2冊のよりもい同人誌(ペンギン饅頭号のひみつ、小淵沢家のひみつ)で取り上げた館林およびその周辺や、シンガポールの聖地はもちろん網羅し、A4へのサイズアップに伴う、全体の写真のサイズアップや写真の追加、未巡礼だった施設、お店の追加、さらに、小ネタなど、より一層楽しめる内容になったと思います。(テキストも多めです)(既刊のペンギン饅頭号のひみつと区別するために、「新ペンギン饅頭号のひみつ」というように「新」の文字をタイトルに付けています)

既刊に掲載した情報のアップデート、地図の見直し、聖地リストの再構築、さらに、第1話の呉への旅、途中の車窓などの解説、鉄道ネタも追加しました。また、南極関連施設も追加しています。

本書では、国内およびシンガポールの聖地は、全てカバー出来たかなと自負しています。

撮影機会がなかなか得られない貴重な学校関連画像もカバーしています。

また、ここ2年の間に失われた聖地の貴重な画像も多数掲載しています。

 

巡礼をされる方はもちろん、より一層「宇宙よりも遠い場所」について知りたい方など、よりもいが大好きな方には、絶対、おすすめします。この機会にお手元に1冊置いていただければ幸いです。

 (メロンブックス様で購入可能です)

 

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2.「青春タヌキ野郎はオーロラ少女の夢を見ない 」(A6:文庫本92p) (新装刊:C97)

内容:南極から戻ったキマリ達は無事3年生となり、いつもの高校生として日々の生活を過ごしていた。日向は、多々良西に編入できて陸上部で汗を流す毎日だった。一方、めぐみはキマリとは別のクラスとなり、キマリ達とは距離を置いていた。報瀬は南極部を認められ、放課後はキマリとともに部室で過ごしていたが、ある日、事件が…。

TVアニメ「宇宙よりも遠い場所の未回収ルートの「日向ルート」、「めぐみルート」を回収すること、そして、様々な作品のオマージュに溢れた作者渾身の作品。

(表紙カバー解説より)

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(2019年12月23日)

 

追記:

ラノベについては通販等での頒布はしておりません。

今後の頒布に関しては未定です。

(2021年3月3日)

 

 

夏コミ(C96)頒布の小説の訂正ページについて

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コミケC96では、当スペースにお越し頂きありがとうございました。

「青春タヌキ野郎はオーロラ少女の夢を見ない」は、筆者初めての小説でした。

お読み頂いた多くの方々に感謝し、また、恐縮しております。

小説は、書いた後に結構緊張するものだということを今回、実感しました。

お読み頂いた皆さま、どうだったでしょうか?

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さて、C96での頒布後に第2章のいくつかの頁でわかりにくい部分、間違いがあったことを気が付きました。ご購入頂いた方には、本当に申し訳ありませんでした。

先に、印刷用の当該頁のPDFデータをご案内しておりましたが、読者の皆さまにご不便をお掛けするのが忍びなく、当該頁に訂正シールを貼ったものをC97で配布(交換)いたします。(P35, P82の2箇所の訂正対応となっております)

交換の方法ですが、申し訳ありませんが、C97での当スペースへ、小説本体をお持ちください。お引き換えで交換をいたします。 

まだまだ校正が十分でなく、読者の皆さまには、この場を借りて改めてお詫びいたします。

また、新型コロナの影響により同人誌頒布会が行われることが現時点では困難なので、引き続き、下記の修正ページの印刷データPDFのダウンロードを継続することにします。

なお、C97で新たに購入された方においては訂正シールを貼付済みですので大丈夫です。

 

(2019年12月14日)

(2019年12月23日訂正)

(2020年5月9日修正)

 

----------------------以下、修正頁のPDFデータの案内--------------------

少々、遅くなってしまいましたが、当該頁の差し替えデータ(PDF)を置きます。

(リンクをクリックすると別タブで開きます)

 ◯パスワード:ご購入頂いた本の92ページの末尾の行の10文字の英文字です。小文字入力でOKです。

[お願い] パスワードを掛けている理由は未読了の読者に対しての配慮です。

[未読了の方へ] この頁を閲覧、および印刷される際は先に目を通されない様にして、当該頁を読む際に見ていただければ幸いです。

 

◯PCでPDFを印刷するときに、Acrobat Readerを使用して印刷する場合

ファイルメニューの「プリント...」を選択します。

さらに、「プリント」ダイアログ内のページサイズ処理の項目は、「合わせる」を選んでください。ただし、「PDFのページサイズに合わせて用紙を選択」のチェックボックスのチェックは外しておいてください。

なお、この時の印刷サイズは、若干小さくなります。

これを避けるには、プリンタ側の設定とAcrobat Readerの両方の設定をうまく組み合わせる必要がありますが、使用するプリンタによって微妙に異なります。

以下の説明はあくまで参考情報であり、印刷が確実に出来ることを保証するものではないことを予めご容赦ください。

◯原寸での印刷について(PC)(参考)

1. Acrobat Readerのプリントダイアログ内の設定内の左下にある「ページ設定...」のボタンを押す。

2. Acrobat Readerの印刷設定を続行する旨のダイアログで「OK」ボタンを押す

3. 各プリンタドライバが提供している印刷設定ダイアログ内で「拡大、縮小」設定を20%に変更し、「OK」ボタンを押す

4. Acrobat Readerのプリントダイアログ内の「ページサイズ処理」を「実際のサイズ」を選択する

5. 「印刷」ボタンを押す

 

なお、PDFデータにはパスワードが掛けてありますので、ダウンロードしたファイルのままでは、コンビニでは印刷出来ません。

◯コンビニで印刷する場合

1. データをこのブログからダウンロードする。

2. ダウンロードしたデータをGoogle Chrome(以下、Chromeと表記)がインストールされているPC上で、Chromeアイコンにドラッグ&ドロップすることで開き、パスワードを入力して表示する。

3. Chromeのファイルメニューの「印刷...」を選択する

4. 印刷ダイアログ内の「送信先」を「PDFに保存」を選択し、保存ボタンを押す

5. 名前を適当に変え、「保存」ボタンを押す

これで、パスワードが解除されたファイルができるので、これをUSBメモリ等にコピーして、コンビニで印刷してください。

◯コンビニでの印刷をしてみました。結果、ファミマ、ローソンではうまくいきました。(同じ機械を使っています)

手順は、普通紙を選択、白黒を選択、A4サイズを選択して、「プリント開始」ボタンを押します。

印刷結果は、PCで印刷した時と同様に若干小さくなります。

なお、便利な設定の項目の「設定を変更する」ボタンを押して、「実際のサイズで印刷する」を選択した場合はうまく印刷出来ませんでしたので、この操作はしないでください。

筆者の家のレーザープリンタよりも綺麗に印刷出来たので、結構良いと思います。

(もちろん、オフセット印刷の600dpiにはかないませんが)

(10円/枚です)

セブンイレブンは、「印刷できないファイル」と表示が出て印刷できませんでした

[重要] コンビニでの印刷は全てのコンビニで確かめた訳ではないので、もしも、うまくいかなかった場合には、ご一報いただければ助かります。確実に印刷出来るファミマ、ローソンをおすすめします。 

(2019年8月22日)

(2019年8月24日加筆、追加情報)

 

 

エトペンのひみつ(コミケ C96)補遺記事(夏休みの宿題:自由研究)

C96(2019年夏コミ)で頒布いたしました「エトペンのひみつ」のもくじに

・オーロラの原理と低緯度オーロラ

の項目がありましたが、この内容が本編に存在しておりません。申し訳ありませんでした。

遅くなりましたが、この項目に相当する記事を本ブログに載せさせて頂きます。

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<オーロラの原理と低緯度オーロラ>

・オーロラの発生と範囲

オーロラは、太陽風(プラズマ)が地球に到達し、そのプラズマが大気圏で空気にぶつかり、発光するものなのですが、その太陽風は地球の磁場に導かれて、極地(北極、南極)に集まるため、その地域でしか見ることが出来ません。

正確に言うと、極地と言っても、北極点や南極点など地軸のあたりではなく、磁極(北磁極、南磁極)を中心にしたドーナツ状のエリアにおいて、観測が出来るのです。

このエリアのことをオーロラベルト(オーロラ帯)と言います。

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オーロラベルト(北極)

幸いにも、昭和基地はこのオーロラベルト(南極)に入っており、オーロラの観測に適した場所です。

めぐっちゃんの行った北極(筆者の推定では、カナダのイエローナイフ)も、このオーロラベルトに入っており、ここはオーロラベルトの中では、緯度が若干低く、比較的、行きやすい場所であると言えます。(もちろん、寒いですが)

ところで、このオーロラベルトに入っている地域でしかオーロラを見ることが出来ないという訳ではなく、あくまで、オーロラが出現しやすい目安の地域のことを指します。

オーロラが現れている地域は、このオーロラベルトの外側まで広がっていることもあります。オーロラが出現している時の発生の範囲をオーロラオーバルと呼びます。このオーロラオーバルは、オーロラが発生している時も、時々刻々と変化しています。

このオーロラオーバルの出現予測を示してくれるこんなサイト(SPACE WEATHER PREDICTION CENTERもあります。(*1)(*2)

 

このサイトでも表示されているように、ドーナツ型ではなく、どちらかというとクロワッサンのかたちをしたエリアになります。(日時によって形が変わるので、クロワッサン型でない時もあります)

もちろん、このオーロラオーバルの出現する場所は基本的にはオーロラベルトを中心とした地域で、高緯度地方であり、通常はこの範囲でしかオーロラを観測することが出来ないのですが、強い太陽風が地球に到達して磁気嵐が発生し、ごく稀に、低緯度(極地に近い範囲を高緯度と呼ぶことの対語)の地域(例えば日本)でもオーロラを観測することが出来ることがあります。

この低緯度でオーロラが観測出来ることを、低緯度オーロラと呼びます。

 

・低緯度オーロラと発生場所

低緯度オーロラは、これまでの観測の記録を見る限り、高緯度地方で見られるような緑色のカーテンのような特徴的なものではなく、赤い発光であり、その見える範囲も全天ではなく、北半球では北の方角の低い高度に現れるようです。

この低緯度オーロラは、過去の日本の文献にも記録されており、平安時代藤原定家が書いた明月記に記されている京都で観測されたこの現象(1204年2月)は、「赤気(せっき)」という名前で記録されています。(*3)

 

また、今年の極地研の公開日(2019年8月3日)にオーロラ講座が開催されていましたが、その脇にこの赤気の絵(コピー)が展示されていました。極地研に行かれた方はお気づきになられていたでしょうか?

この絵は京都で1770年9月に描かれたものだそうです。午前0時頃の北の方角のものです。

京都は北海道よりも緯度はさらに南に位置するので、オーロラの観測は非常に稀だと思います。この時も大きな磁気嵐が地球に発生したのだと想像されます。また、当時はまだ電気のない時代なので、街灯も人家の明かりもなく、夜空は暗かったので、今よりも観測には有利だったと想像できます。

記録に残されるというのは、やはりインパクトの大きな出来事だったことに加え、それを記録に残そうとする人が少しはいることが必要で、京都のような大きな都市だったからこそ、そのような記録(色絵)が残されたのだと思います。

この絵は、『星解』という名前の書物に描かれたものですが、日本に3個存在しているそうです。そのうちの1つが三重県の松坂市の郷土資料室が所蔵しているそうです。(*4)

三重県松坂市といえば、北海道の名前を命名した松浦武四郎の出身地です。北海道とのつながりをこんなところで感じてしまいました。(*5)

 

さて、低緯度オーロラは、高緯度に対する言葉ですが、高緯度地域(北緯(南緯)60度以上)よりも低い緯度という意味であり、赤道地域を指すのではありません。

オーロラが通常発生している地域では、全天で見ることが出来ます。それは、この地域の頭上にオーロラの発生する原因が存在しているからです。

一方、低緯度オーロラは、オーロラの発生する場所が高緯度寄りであり、その直下ではないため、地平線の近くにしか見ることが出来ないようです。

 

前述の京都で観測されたのは、ずっと昔のことであり、当時の磁極(北磁極)の位置が現在と異なっていたことも関係しているようです。磁極は、ずっと固定している訳ではなく、絶えず移動しています。磁極が移動している理由ははっきりしていませんが、地殻内のマントルの移動など、地球内部の構造に関係しているようです。

ただ、流石に京都のような低緯度で観測できたのは、よほど大きな磁気嵐が発生し、そのオーロラの発生場所も京都の北方の比較的近い緯度だったのではないかと考えられます。

また、低緯度オーロラが赤い理由ですが、オーロラは、発生している時の高度によって色が異なり、高緯度地方で見られるオーロラは通常は緑色が多いです。それは、オーロラの下部、つまり高度の低い部分は緑色であることによります。一方、高度の高い部分は赤色であり、遠方から見ることの出来るオーロラは、このオーロラの上部しか見えないため、赤い色のオーロラしか観測することが出来ないのです。

日本でオーロラが今よりもよく見えるようになるには、磁極の位置が北極点よりロシア側に移動すればいいのですが、短期間に移動するものではないので、すぐに実現するものではありません。(*6)

 

さて、陸別町のりくべつ宇宙地球科学館(銀河の森天文台)内に展示されている写真(トップ>りくべつ宇宙地球科学館>天文ギャラリー>低緯度オーロラ を参照)を改めてよく見てみます。赤い色のものが大多数ですが、緑色のものもあります。天文台がシルエットに浮かんでいるものは、建物の形状から北の方角に向かって撮影していることがわかります。

いくつかの研究資料に依れば、オーロラを離れたところから見た場合、下層の緑色の部分が見えず、上層部の赤色の部分が見えるので、低緯度オーロラは赤いという説明でした。撮影条件、状況がわからないので、緑色に写っているのは何なのかは気になります。

 

オーロラの発生地点(A地点)から、実際にどのくらいの距離(緯度差)までこの赤いオーロラが見えるのか計算してみました。

観測地点(B地点)では、地平線の上から10度までの範囲でオーロラが観測されると仮定します。

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オーロラ高度計算図

通常の緑色のオーロラの高度は100-200km程度であり、さらにその上層の赤色の部分は200km以上となり、最大でも500km辺りまでということです。

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緯度差高度対応表

上記のように、オーロラベルトの辺りで発生した通常のオーロラを直下ではなく、少し緯度が下がった場所から見えるのは、赤色の場合では、高度を250kmとした場合では、発生場所より緯度で15度離れた場所辺りとなり、500kmとしても20度離れた場所までとなります。(H1よりも高度が上でないとB地点からは見えない)

現在の磁極(北磁極)の位置は、グリーンランドの西の辺りでここは、日本からは経度としては地球の裏側に当たり、磁気緯度(磁極を90度とする緯度)は、北海道でも、わずか35度くらいにしかなりません。

日本の北の方向で最も近いオーロラベルトとなるロシアの辺りの実際の緯度は80度くらいになり、北海道との緯度の差は35度もあります。先ほどの計算結果の表を見ていただければ判るように、35度の緯度差のある場所から見えるオーロラの最低高度は、1400kmを超えるので、通常のオーロラが見えることはほぼないと考えられます。

つまり、日本では、オーロラベルトの辺りに発生したオーロラを斜めの方向から見るというのはありえないことになります。

したがって、北海道で見えた赤いオーロラ(低緯度オーロラ)は、この通常のオーロラベルト付近で起きたものではなく、より北海道に近い場所で起きたものではないかと思います。

前記の表から考えると赤いオーロラの高度を250kmとすれば、緯度差は15度となります。この場合での緯度60度の場所は北海道の真北に位置するオホーツクという町の辺りになります。(*8)

この場合には、その距離は1800km程度となり、単純に計算しても光の強さは、直下の1/50になり、さらに地平近くの大気の減衰も考慮に入れるとさらに暗くなります。そのため、これが肉眼で見える時は、本当に明るい、大規模なオーロラが発生する時なのだと想像されます。

 

・まとめ(オーロラ観測の勧め)

オーロラの明るさは、実際、結構暗いので、それを観測できるのは、街の明かりの影響を受けない場所でかつ、空が澄んでいるなどの条件が揃って初めて肉眼で見えるのだと思います。写真撮影でしか観測できないことも多いようです。

低緯度オーロラが発生する時は、オーロラの発生する要因、つまり磁気嵐の規模が非常に大きい時であり、それを陸別町で何回か肉眼で観測出来た理由としては、町が人口が少なく、夜空が暗いこと、緯度が比較的高いことなどが挙げられます。

肉眼での観測は本当に稀なのですが、写真撮影は何度か成功しています。

陸別町のキャッチフレーズは、「日本一寒い町」であって、「オーロラが見られる街」としていないのは、この肉眼で見れることが本当に稀(20年に1回程度)であり、流石に、いつもオーロラが見れると公言するのは憚れるということのようですね。

明治以降の記録において、肉眼で観測されたのは、ほとんど北海道であり、この陸別町では、肉眼では稀でも、写真撮影にはこの20年のあいだでも何度か成功しています。(*9)

 

いつも宇宙天気予報太陽風の状況を確認して、大きな磁気嵐が起きた時には、この陸別町に訪れると、もしかしたら、肉眼でオーロラを観測出来るかもしれませんね。

 

*1: NATIONAL OCEANIC AND ATMOSPHERIC ADMINISTRATION(NOAA:アメリカ海洋大気局:米国商務省)の運営

*2: 和訳では同名となる日本の「宇宙天気予報センター」は、日本の国立研究開発法人情報通信研究機構NICT)が運営しています。こちらは、太陽活動や、電離層の影響を伝える情報等を扱っています。

*3: こちらの研究報告書に詳しい

*4: 赤気の画像や江戸時代の観測の説明はこちらの研究報告書に詳しい。

「星解」のこの画像に関しての比較考察は、こちらの研究報告書(PDF)に詳しい。

*5: 松浦武四郎は、幕末に北海道(樺太を含む)をくまなく調査し、様々な報告書を自費でも出版し、また、アイヌ先住民族)の記録、保護にも尽力した。

*6: 最近の情報に依れば、磁極の移動速度が早まり、ロシアの方向へ移動しているようです。原因は不明ですが、オーロラの日本での観測がもしかしたら、今後より可能性が高まるかもしれません。この情報に依れば、現在の北海道の磁極緯度は50度に近いことになります。

*7: 地球の半径=6371km(平均半径)としています。実際の地球の赤道付近での地球の半径は6378kmであり、極点での半径は6356kmであり、一様ではありません。

*8: オホーツク海の語源になった町(ロシアのハバロフスク地方)

*9: 名古屋大学太陽地球環境研究所の塩川和夫教授の低緯度オーロラ解説ページに過去の観測リストが掲載されている。

(2019年9月17日作成)

コミケ c96 お品書き(2019年夏)(1st info.)

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コミケ(C96)のサークル「やきいも」の新刊紹介です。(8月10日(土) 2日目南2オ-34b)

今回もTVアニメ「宇宙よりも遠い場所(よりもい)」の同人誌です。

そして、今回はなんと2本立てです。(700円:セット販売です)


1. エトペンのひみつ (B5:フルカラー8p) (新刊:C96) 
 聖地巡礼・舞台探訪、解説本です。

2.青春タヌキ野郎はオーロラ少女の夢を見ない (A6:文庫本92p) (新刊:C96)

ラノベ(小説)本です。

 

内容説明:

今回は北海道に足を伸ばし、結月関連のカットの回収や南極関連の施設を訪れました。また、念願の日向の陸上部部室のカット(群馬県内)も撮影出来ました。さて、そんな中、放送終了後、TVシリーズの続編を期待しているうちに早くも1年が過ぎてしまいました。新作があれば、また新たなカットの回収に努めるのですが... 。

 

という訳で、登場カットの多くはすでに2冊の前著でほとんど回収済みですので、どうしたものかと考えているうちに、ストーリーの回収、すなわち日向とめぐっちゃんの南極、および北極からの帰還後の思いを想像して、彼女らの高校生生活を小説(ラノベ仕立て)として書いてみようと思いました。

 

これらは、筆者がリスペクトしている麻雀を題材にしたコミック作品「咲-Saki-」(小林立)や今年公開された阿佐田哲也原作のリメイク作品「麻雀放浪記2020」(白石和彌監督)、そして、ラノベ、TVアニメ、劇場版も公開された「青ブタ」シリーズ(鴨志田一)からその題名を、そしてこの作品のストーリー設定の源流ともいうべき、映画「転校生」(大林宣彦監督)、これらのオマージュです。

ストーリーは2本立てで、1話目は日向ルート、そして2話目はめぐみルートです。

もちろん、キャラ設定はよりもいの登場人物そのままですが、脇役を登場させたり、キマリの妹リンの出番を増やしたりと、いろいろ趣向を凝らしています。さらに、作中で何度か登場した麻雀ネタの仕込みもしっかりやっています。

 

内容の一部を紹介(小説の舞台の解説本を兼ねています)(小説は読んでのお楽しみ)

 

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お詫び:目次に本誌に一部記載のない内容が含まれています。

その内容については後日、このブログ内でまとめを掲載するつもりです。申し訳ありません。(夏休みの宿題かな)

以上、よろしくお願いいたします。

 

<情報>

既刊のよりもい本のうち、「ペンギン饅頭号のひみつ」は品切れです。申し訳ありません。好評の「小淵沢家のひみつ」(400円)は在庫が少しありますので、併売いたします。

その他、筆者のいくつかの聖地巡礼関連の既刊も少しだけ持って行きますので、お声を掛けていただければと思います。

境界の彼方、無彩限のファントムワールド(以上、京アニ作品)、ハイスクールフリートはいふり)、たまゆら(以上、横須賀関連)

 

(2019年8月)

 

 

<追記>

「エトペンのひみつ」の内容のほとんどは、「新ペンギン饅頭号のひみつ」内でカバーしています。

また、ラノベ「青春タヌキ野郎はオーロラ少女の夢を見ない」は、現在頒布を行っておりません。

再頒布についても未定です。

(2021年3月20日

シンガポール行きの飛行機のモデル(キマリが乗った飛行機)

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シンガポール行きの機内食の茶そば

 宇宙よりも遠い場所(第5話)で、キマリが早朝、館林の自宅から成田空港へ向かうシーンが登場します。

空港でのシーン、例えば出発ゲート横の矢印が並んだ案内板とか天井の模様などから、出発したのは成田空港であることがわかります。

シンガポールへ向かう便のモデルは、出発時刻、機内風景、飛行機のデザインからシンガポール航空のSQ637(成田発:11:10)のようでしたが、空港に到着した後(第6話)、出発ゲートを通り、出国審査、そして、ゲートへ向かうシーンについてなど、総合的に考察して、C95(2018年冬コミ)で拙著「小淵沢家のひみつ」では羽田空港説にも触れました。

成田空港発(SQ637)としての疑問点は、以下のものでした。

1)SQ637の機材はB787-10である(放送開始時から拙著記述時(2018年12月)、そして現在も)

2)シート背面のモニタ周りが作中のものと異なる

3)窓側席が2列である

4)この便のシンガポールの到着時刻では、ホテルに寄ってからマーライオンに行くと日が暮れてしまう

5)SQ637の出発ゲートは45番ゲートだが、通路から見ると、通路に直角に飛行機が駐機しない(はず)

これらの疑問点の基本は、1番に挙げた、飛行機の機種(機材)が異なるということです。

拙著執筆当時、成田と羽田の午前便のみを比較した結果、羽田説(SQ631)も挙げた理由は上記の2、4、5において羽田なら作中に合うと考えたからです。

 

その後、この飛行機のモデルの検証を1から再度やってみようと色々調べました。

その結果、SQ637(成田空港発)をモデルとしていると確信しましたので、その検証内容を改めてお伝えしておきたいと思います。

1)SQ637の機材はA380エアバス社)である

作画の飛行機の外観をよーく見てみると、窓が2列(2段)になっています。(皆さんはとっくに気が付いてますよね)

2)シート背面のモニタ周りが作中のものに似ている

拙著では、B777-300ERのものが似ていると記載しましたが、ドリンクホルダーの位置が左右逆でした。A380が合致します。その他のパーツもB777-300ERは結構似ているのですが、細かい部分ではやはり異なっていました。

3)A380の2階のエコノミー席は窓側が2列である

A380のエコノミー席は1階と2階にありますが、1階席は窓側は3列です。

B787-10もB777-300ERも窓側の席が3列なのは同じです。なので、脚色かなと思っていました。

しかし、このA380には2階席にもエコノミークラスがあります。この2階席では窓側は2列ですので作中と合います。

4)(後述します)

5)45番ゲート脇の通路から見ると、通路に直角に飛行機が駐機する

筆者が間違えた理由は、成田空港の見取り図から、飛行機の駐機位置を割り出したためでしたが、実際の画像(このブログ記事)など、もっと確認すべきでした。(探せば見つかるんですね)

という訳で、羽田説は取り下げます。申し訳ありませんでした。

A380の機内の写真(2階席のエコノミークラス)については、こちらのブログ記事が詳しいです。この記事の末尾の辺りに、シート背面のモニターなどもはっきり見えています。

では、なぜ、作中の飛行機はA380だったのでしょうか。

放送開始時点では、前述のようにSQ637はB787-10でした。

しかし、2016年10月22日まで、実際にA380が使われていたのです。

なので、A380を機材に採用したのは以下のような理由(経緯)だったと思います。

1.作品のイメージに合わせるために、この窓側を2列席で作画したかった。そのような機材を探し、見つかったA380を作画に採用した

2.スタッフが以前に搭乗した機材がA380で、それが窓側は2列席だった。その時の資料を元に作画した

いずれにせよ、他の機材(例えば、B777-300ER)の資料を混ぜたりせず、A380の資料のみを参考にして作画しているスタッフのリアリティに対するこだわりに改めて敬服いたします。

そして、朗報です。

2019年の4月28日から、SQ637の機材がA380になります。

シンガポール航空の機材説明はここ

GW中は流石にもう予約は無理でしょうが、その後は作中と同じ飛行機に搭乗可能になります。なお、これは夏ダイヤの期間だけで、10月27日までのようです。

ただ、このA380の機材も、7月からはA380Rと呼ばれる機材に変更になるようで、2階席の窓側2列エコノミー席がなくなってしまうかもしれません。7月以降にシンガポール巡礼をお考えの方はご確認されると良いと思います。

A380、A380Rへの変更の記事はここ

 

さて、話を戻します。

(疑問4)のシンガポール到着時刻の問題ですが、これは、作中では、土曜日にシンガポールに到着して、月曜日にフリーマントルに向けて出発する(パース行きの飛行機に乗る)という過密な日程もあり、到着後にマーライオンまで行ってしまうという流れを組み込むには、到着時刻を現実にあり得ない時間にしたのはしょうがなかったということでしょうね。通常、成田からシンガポールへは6時間半かかるところを4時間くらいで移動することで、現地時間の午後2時くらいに到着したことにします。(このことに目くじら立てないで頂ければと思います)

また、シンガポールと日本の時差が1時間あるのと、さらに本来の時差の地域よりも西にシンガポールが位置していることにより実質2時間日が暮れるのが遅くなるのですが、全く間に合いません。(拙著でも述べましたが、少し早い羽田発(SQ631)でも川下り込みではちょっと厳しいです)

そして、以下のような時系列でストーリーが進行します。

(時刻は筆者の推定:現地時間)

14:00 空港着(日本を午前中の明るい時間に出発する便はこの時間に到着しませんが)

15:00 MRTオーチャード駅上の交差点

16:00 道草しつつオーチャードホテルに到着

16:30 ホテル出発

17:20 川下りの船に乗船

17:40 マーライオンで記念撮影(日差しの感じから18時以前と推定)

このあと、しばらく市内観光していたと想像。

シンガポールでは20:00頃にようやく暗くなる)

20:00 大盛りチャーハンを食べる(Boat Quayエリアのこの中華料理店)

(このお店から、マリーナベイサンズへ移動するのは徒歩では時間がかかり過ぎてちょっと無理なのですが、ここもストーリーの「イメージ優先(*1)」でマリーナベイサンズの近くにお店があるという設定にしていると思われます。徒歩で10分くらいの距離でないと、21時の2回目の噴水ショーに間に合わないのと、チャーハンをお腹いっぱい食べるのに時間が掛かり、そのあとMRT(地下鉄)に乗って移動するのも不自然な感じがします)(この件に関しては別記事で)

21:00 SPECTRA(噴水ショー)を見る

21:30 展望台へ登る

23:00 オーチャードホテルへ戻る

筆者は、この日程をトレースすることを意識して、シンガポールに少しでも早く到着する羽田発のSQ631(シンガポール着:15:45)を利用し、道草せずにホテルに到着しましたが、到着当日の明るいうちに川下りをしてマーライオンまで行くのは無理でした。

けれど、やはりキマリみたいにシンガポールに着いたら、早くマーライオンを見たくなったので、翌日の下見も兼ねて、夜のマーライオンを見に行きました。

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夜のマーライオンとマリーナベイサンズ

皆さんも、ぜひ、このスケジュール表を参考に4人の足取りを辿ってシンガポール聖地巡礼を楽しんでくださいね。

 

*1: 「イメージ優先で」ですが、筆者は昨年春アニメイト横浜店のBD第1巻発売プロモーション時に第1話の絵コンテが展示されているのを見ました。その中に、おそらく、いしづか監督のコメントで、以下のように記されていたのを記憶しています。その部分には、実際(実在)の場所と合致しない場面に対して、「イメージ(ストーリーの流れ)を優先で」(現実世界との矛盾(不一致)は気にしないで)という意味で書かれていたのに、ちょっと得心があったのを覚えています。

聖地が実在の風景や事象と異なっても、ストーリーとして自然な流れを優先するという監督の考え方は作品のかたちを大事にするというものであり、それは当然だと思いますし、筆者はそれに共感します。

もちろん、あまりに現実の風景を改変しすぎると、リアリティが失われるきらいもありますから、そこはほどほどであるに越したことはありませんが。

実在の聖地が作中の世界と細かい点で異なることを殊更気にされる方もいらっしゃるようなので敢えてここにそのことについて書き留めておきたいと思います。

 (2019年3月13日)